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「激しい……」
何故か少し嬉しそうな笑みを浮かべるとりこ。
スペルカードの耐久力の減りに反比例して、林檎弾と音符弾の勢いは増していく。
「面倒ね、なんだか攻めているこっちが圧されている気分よ」
「そんな、責めるだなんて……」
「はぁ……つくづくこんな仕事を引き受けるんじゃなかったわ」
心なしか霊夢の札の勢いが衰えた様にも見えるが、今更少々衰えたところで問題はない。
とりこのスペルカードの耐久力は残りわずか、風前の灯火である。
「仕事でも、私に会いに来てくれて嬉しいわ」
「あんたに会いに来た覚えはない!」
とりこにとどめをさすかのように、霊夢の札が勢いを取り戻した。それどころか、先程よりも勢いが増したようにも見える。
押し寄せる札の波。それはとりこのスペルカードの耐久力を削りきるには十分過ぎるものだった。
「ああ……冷たいのね、まるで冬のよう。でも、私は春の女。春と冬は繋がっているの、貴女と私の心のように……」
「可哀想に、あんたは確かに春真っ盛りね。それとあんたと私の心は全く繋がっていない」
「あら辛辣。でも、嫌よ嫌よも好きの内。貴女はきっと素直になれていないだけ、間違いないわ……!」
――Spell Break!
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