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「結構、綺麗な声してるじゃない。どうやらあの夜雀とは違うようね、歌の感じが違うみたいだし」
まるで何かに誘われているかの様に声の導くままに進んでいく。
時折、聴こえてくる歌声に魅了されている様な感覚を拭い去りながら進んでいく。
それが霊夢自身の意思であるかは定かではないが、霊夢が自分の意思であると認識している以上はそうなのだろう。
そのまま暫く進むと唐突に声が止んだ。
「声が止んだということは、この辺りにいるのね!」
と、霊夢が周りを見回していると再び歌声が聞こえ始めた。
「――木漏れ日の中でローブが揺れる金色の髪の貴方にもぎ取ってほしい」
「あ……」
歌声の主は長く艶やかな黒髪を櫛でとかしている、白い布一枚で身体を隠す美しい顔をした女性だった。
「貴女が歌声の正体ね!」
「……あら、貴女私が見えるの?」
「見えなきゃ話しかけるわけないじゃない」
「貴女、何故私が見えるの?」
「知らないわよ」
「そう、そういうこと……次に私が愛を捧ぐのは相手は貴女なのね……!」
「はぁ? 何を言っているのよ?」
危ない奴だと判断した霊夢は咄嗟に距離を取り、札による攻撃を開始した。
『従順なる愛の奴隷』
詩心とりこ-shikokoro toriko-
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