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とりこは霊夢の質問には答えず、尚も歌にのせて弾幕を放っていく。
そんなとりこに対して霊夢は苛立ちを募らせるだけだった。
「もし私が磨かれたリンゴの実だったら木漏れ日の中でローブが揺れる金色の髪の貴方にもぎ取ってほしい」
「聴いたことない歌を歌われたって何も私には伝わらないわよ?」
苛立ちが歌の誘惑に勝ったのだろうか、霊夢の動きは歌を聞き始める前のキレを取り戻していた。
だがそれでもお構い無しと言わんばかりに、とりこの弾幕の勢いと量が増していく。林檎に至っては先程の三倍はあろう速さで霊夢に迫っている。
「何よこの林檎!」
「赤いから……通常の三倍なのよ……私の想いも、三倍満」
「赤いからって何よ……というか、あんたの想いは増さなくていい!」
苛立つ気持ちを落ち着かせ、いつも通り札で反撃。
その際、なるべくとりこの正面を維持するように気を遣う。なぜならば、霊夢の札弾幕はホーミングと自分の正面のみを攻撃するものの二つで構成されているからだ。
正面を維持することによって、二種類の札の両方を相手に当てることが出来るのである。
そうなれば当然、スペルカードの耐久力を削る勢いも増すのだ。
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