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「どうやら、森は脱け出せたみたいね」
しかし、森を脱け出した霊夢の眼前に広がる景色は更に面倒を増したようにしか見えない様なものだった。
「悪趣味ね。でも泣きわめくだけしかしない陰気な相手だもの、こんなところにいてもおかしくはないわ」
霊夢が辿り着いたのは、小高い丘の上に断頭台。その周りにはさも当たり前と言わんばかりに、まるでインテリアの様に散らばっている人骨。
霊夢の言う通り、非常に悪趣味な光景である。
「うーん……こんなとこに長居はしたくないな……空気も悪い」
「あたしの領域に勝手に踏み込んできておいて好き放題言ってくれるね!」
「あら? 漸くおでまし?」
霊夢の前に現れたのは薄い赤色をしたワンピース着ていて裸足。緑髪で、頭頂部に二枚の葉が垂れている少女。
頬を膨らませているところから見るに、少し腹を立てているようだ。
「人の住処を悪趣味だの空気が悪いだのって、言われた方の身にもなれ!」
「あら、だって骨だらけで悪趣味だし空気が悪いのは本当の事でしょう?」
「ぐぬぬ……もういい! なんで巫女がいるのかは知らないけどここはあたしの領域だ! あんたなんてあたしがやっつけてやる!」
『恋する無実の無念と涙と怨み』
秋咲ねね-akisaki nene-
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