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ばこんっ、と爆発音が闘技場に響いた。
マスターと周りの客はぴしり、と固まり、代わりにマスターの真横の壁だった筈の瓦礫が音を立てて崩れた。
「出場、希望なんだ」
先程と同じ様に淡々と述べた少年に、マスターは首を縦に振るしかなかった。
「え、えーっと…。名前と種目は…?」
「ザミラ…。…魔法」
「(聞いたことねえな…。)ざ、ザミラ君ね…。…魔道士か、どうりで」
マスターは瓦礫を拾い上げ、口元を引き攣られながら少年ーザミラーと交互に見比べた。
「…ま、いいや。名前呼ばれると想うから、その辺に居ろよ」
マスターの言葉にザミラは一度だけ頷き、背を向けた。
「………変な奴」
ばこんっ
マスターの持っていた瓦礫が吹き飛んだ。
「…て、訂正。…無口な奴(おっかねえ…!)」
マスターは自分の金の長髪を掻きながら、ザミラの事を覚えていようと誓った。
これが、二人の出会い。
(結局勝ってるし…皆大損したな、こりゃ)
(………何か視線を感じる)
闘技場ではお金賭けてます。
半分力試し、半分博打です。
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