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†
「お」
「…」
「あっ、ちょ、待てって!」
市場も賑わう真昼の城下街。
ザミラは珍しく昼の街を歩いていた。
それが良いか悪いか、いつかの闘技場のマスターとばったり出くわしてしまった。
知らないフリをして通り過ぎようと試みたが、結局は止められた。
「お前強かったんだな、あん時はびっくりしたぜ」
そう述べるマスターは、一枚のカードをザミラに手渡した。
「………ハルム」
「俺の名前だ、ここで会ったのも何かの縁。覚えとけよ」
ザミラは無言でカードを懐に仕舞い、マスターーハルムーを見上げた。
「………ハルム」
「んなに何回も呼ぶなよ、照れるだ「…後ろ」…あ?」
ハルムが後ろを振り返ると、そこには大きな、角を生やした魔物が。
「…何だこれ」
「…魔物」
「それは見れば分か、うわっ!」
どしん、どしんっ
大きな巨体が地面を揺らす。
街の人々も悲鳴をあげながら、城のある方へ走っていく。
「何で街中いるんだ!?」
「…」
二人も真後ろで地震を起こしている魔物から走って離れた。
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