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…少し、昔話をしようか。
まだ秀吉と俺が仲が良かった頃の話をさ……
「…さぁってと。今日は何して遊ぼうかなぁ」
「慶次よ、何をしておるのか」
「秀吉! 丁度そっちに行こうと思ってたとこなんだ!」
俺のダチ…秀吉に声をかけられた。
俺はそれに笑って答えた。
「うむ。では何処に行く慶次よ」
「そうだなぁ…また何処かに悪戯でもしに行くか?」
「構わぬが…二人に何か言われるのではないか?」
「…うっわ、それは勘弁して「あら、慶次に秀吉?」…ねね?!」
「どうしたの、二人とも」
いきなり話し掛けられ驚くけどねねだと分かりホッとする。
「脅かすなよ、ねね…」
「脅かすなよって…まさかまた悪戯しに行こうとしてたの?」
「…い、いやそれは、その……」
「全く、何時まで経っても変わらないわね慶次は…それに、秀吉貴方もよ」
「…うむ、済まぬな。ねねよ」
「全く…」
ねねは腰に手を当てて口を尖らす。
そんなねねを秀吉は目を細めて眩しいものを見るように見つめる。
………敵わないな、と思っている。
いつからだったろう。
俺がねねに恋心を抱いたのは。
……ねねが秀吉に恋心を抱いたのは。
秀吉もねねが好きだった。
だから俺は身を引く事にしたんだ。
二人には幸せになって欲しい。
少なくともあの二人なら大丈夫だと思ったんだ。
俺の家にはまつ姉ちゃんに利がいる。
二人は今の日ノ本じゃ殆ど考えられない恋愛での婚姻を結んでいる。
きっと二人も……
「………いじ!」
そこで考えるのを止める。
「どうしたのよ、もう」
「考え事とは珍しいな、慶次よ」
「…ワリィ、ちょっとな」
本人達に言える訳…ないよなぁ。
早く結ばれれば良いと思う。
その時には心からおめでとうを言える様に。
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