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秀吉とねねが恋仲になった。
少し悲しかったけど、やっとおめでとうが言えると二人を見て思った。
「あのさ、二人とも…」
「何だ、慶次よ」
「なぁに、慶次」
同時に返された言葉に笑い、こう言った。
「おめでとう」
…俺は笑えていたかな?
「…二人は逢い引きに行っちまったしなぁ」
「慶次、お友達ですよー」
家で寝転がりぼうっと天井を見つめていればまつ姉ちゃんが呼びかけて来た。
「友達って…」
今日は秀吉とねねは来れない。
だとすれば一人しか居ない訳だ。
「やあ、慶次君」
「よう、半兵衛」
予想通りの友人―――半兵衛に挨拶をして俺は起き上がった。
「で用は何だ、半兵衛?」
「特にこれと言ったものはないよ、慶次君」
その答えに疑問を覚える。
半兵衛は俺と会う時は必ず用がないと来ないからだ。
……俺と半兵衛は余り仲が良くない。
だから秀吉が間に入らない限りはお互い近寄ろうとしないんだ。
それが今日に限って何故…?
「秀吉は、ねね君と今逢い引きに行っているからね。良い機会だから慶次君と話そうと思ってね」
肩を竦めながら半兵衛はそう言った。
……何だか釈然としないけど、とりあえず話してみる事にした。
「…という訳なんだ。………慶次君、聞いているかい?」
「! き、聞いてたよ半兵衛」
俺はぐったりしつつ返事をした。
………今まで2刻の間ずっと秀吉の話をしていた半兵衛。
どれだけ好きなんだ…と呆れを通り越し、尊敬した。
でもそれだけ自分を見てくれてるなんて秀吉は気付かないんだろうなとも思った。
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