問題編

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 駅前の雑居ビルの二階にあるカルチャースクールで、教室の中央付近に置かれた石膏像を前にし、美術クラブの生徒達は黙々と石膏デッサンに励んでいた。その像は甲冑(かっちゅう)を身に纏(まと)い 高々とツルギを振り上げた古代のローマ兵士だった。    「皆さん、今描いているモノは、来月の初めに開かれる展示会に出品する作品ですから、各自ハリキって傑作を書き上げて下さいね。」 生徒達の進行状況を見守りながら、スクールの講師が呼びかけた。             「先生、すみません。先程から暖房が効き過ぎてるみたいで、何だか蒸し暑いんですが‥」    生徒の一人が訴えた。     「アラ、そういえば‥、ふふ‥、でもコレは皆さんの作品に賭ける熱気で教室の温度が上がったのかも知れませんよ。」      教室に笑いが起こる。その時であった。生徒達は異次元に突き落とされたような信じられない光景を目撃した。
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