快晴

2/20
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/81ページ
『青空宅配』  そんな看板が掛けられたラルトビル一階から、一組の男女が出てきた。 「お兄ちゃん、カフェ、行こ!」  元気な声は、小早川和華子だ。 「ちょー、待ちや」  お兄ちゃんと呼ばれたのは小早川優斗で、扉に鍵をかけると、 「よし行こ!」  と和華子と連れ立って歩いていく。  ここは楽園(がくえん)。  すべての人種が、楽器を持って生まれて来る世界。  その楽器は生涯一人に一つであり、壊すと本人でなければ直すことができない。  もちろん和華子と優斗も、それぞれ楽器を持っている。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!