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『青空宅配』
そんな看板が掛けられたラルトビル一階から、一組の男女が出てきた。
「お兄ちゃん、カフェ、行こ!」
元気な声は、小早川和華子だ。
「ちょー、待ちや」
お兄ちゃんと呼ばれたのは小早川優斗で、扉に鍵をかけると、
「よし行こ!」
と和華子と連れ立って歩いていく。
ここは楽園(がくえん)。
すべての人種が、楽器を持って生まれて来る世界。
その楽器は生涯一人に一つであり、壊すと本人でなければ直すことができない。
もちろん和華子と優斗も、それぞれ楽器を持っている。
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