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「こらヤマト、出雲ちゃんは年上なんだから敬いなさい。
ほら自己紹介して」
店長に促され、少年は渋々名前を言った。
「神田大和(カンダ ヤマト)でーす。
言っとくけど、年上だろーと無能なヤツは容赦しないから」
声ににじむ自信が威圧感たっぷり。
見た目と中身のギャップに、私は危うくめげるところだった。
敵は案外身近なんじゃないのか。
「じゃ、ひゅーくんも来るからあとはよろしくね☆」
ってことは
しばらくこの子と二人?
「店長はどこ行っちゃうんですかぁ!」
私は恐怖で店長にしがみつく。
「ちょっと用事があって…
ってか出雲ちゃんどうしたの?」
目をぱちくりさせる店長。
どうしたもこうしたも、あの毒舌少年といるのが怖いんです!!
そんな私をせせら笑い、
「情けねー。
一人じゃ何にもできない人種かよ」
と大和が言う。
もうこんなヤツ呼び捨てだよ呼び捨て!
私は根性で店長の服を離し、タンカを切った。
「そんなことない!
レジだって覚えたし一人でやってみせるからね?!」
売り言葉に買い言葉。
今それがぴったりの状況だった。
絶対このガキんちょをぎゃふん(死語)と言わせてやる!!
店長が出て行くと、さっそく一人目のお客さん。
思った通り女の人だ。
カロリーメイトとジュースを持って、大和のレジに行く。
どんな接客をするんだろう?
そして、私は驚愕の光景を目の当たりにした。
「いらっしゃいませ!
また来てくれたんだ、ミキおねーさん」
「うん♪
あたしヤマトくんのためなら何回でも来ちゃうよ~!」
サ ギ だ ろ !!
悔しいけど天使みたいなスマイルの大和に、私は心でありったけの思いをこめて叫んだ。
お客さんが帰ったあと、大和は私に不敵な笑みをよこした。
悪魔だ…
早くも心がくじけそうになる。
そこに日向くんがのっそりと現れた。
来てくれてよかったぁ!!
天の助けと思わず半泣きで彼を見つめる。
「おはようございます」
軽く頭を下げると、日向くんも目礼してくれた。
昨日より進歩したよ、私。
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