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という俺の秘めたる決意に気付くことなく、出雲はおつかいの買い物を済ませて帰っていった。
俺と赤毛との間に沈黙があぐらをかいている。
最初に口を開いたのは相手だった。
「君、幼なじみなんだ」
ぽつりと言った言葉の重さに恐怖を感じる。
そして、『さがみ』と名札をつけたその男は叫んだ。
「そんな恵まれたシチュエーションにいるヤツにこのコンビニで働く資格はない!」
完全私情の持ち込みじゃねぇか!!
心からのシャウトは天に届かない。
俺はつまみ出され、ヤツが見下ろす。
「出雲ちゃんをお前みたいなベタなポジションにやるわけにはいかないんだよ」
帝王。
たとえるならその単語がぴったりの表情で男は言い放った。
「お前片桐の何なんだよ?!」
負けじと言い返す。
フッと余裕の黒い笑みを浮かべ、男は
「未来のだんな様♪」
とほざいた。
だ ん な 様
俺は打ちのめされた。
目と鼻の先でガラス戸が閉まる。
「出雲…お前ホントにどんなとこで働いてんだよ…」
がっくりと膝をついた俺を、街灯がわびしく照らしていた。
「っくしゅん!!」
私は突然の寒気にくしゃみをした。
弟がティッシュを差し出す。
「誰かにウワサされてんじゃない?」
「まさかー」
私は笑ってティッシュを受け取った。
ウワサされるほど目立つキャラしてないもん。
コンビニのメンツは色んな意味でキャラが濃いけど。
そういえば常陸が相模さんと話してたみたいだけど、何かあったのかな?
知り合いなはずはないよね…
「まぁ明日にでも教えてもらえばいっか」
私はミュージックステーションの続きに目を向けた。
二日目のバイトも少しのハプニングはあったものの、うまくやれてよかった。
明日も楽しい日になるといいな…
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