面接はぎゃるげー?

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[面接はぎゃるげー?] 季節は終わりに近付いた春。 晴れて高校に入学した私は、両親に頼み込んでやっとバイトの許可をもらえた。 さっそく面接を受けに行こうと思ったけど、近所のスーパーやコンビニは募集が埋まってしまっていて… 街を歩いても、募集をしているお店は見当たらない。 途方にくれて、それでも諦めきれずにさまよっていると、知らない路地に入っていた。 「…『Gマート』?」 住宅地の中にコンビニがぽつんと建っている。 聞いたことのない名前だなぁ…。 『地域密着型・個人営業コンビニエンスストア』となんだかよくわからない貼り紙の下部分に、『アルバイト募集』の字を見つけた。 ――これだ!! 私は迷わずバイト先をここに決定。 自動ドアが開くのも待ちきれずに、中に飛び込む。 「すいません、ここで働きたいのですが!!」 レジに立っていたスタイルの良いお兄さんに、勢いもそのままに言う。 お兄さんは面食らい黙っていたけれど、突然笑い出した。 私も急に恥ずかしくなってしまう。 もう少し落ち着くんだった… 「OK、奥の部屋に店長がいるから聞いてごらん」 お兄さんはひとしきり笑ったあと、レジの隣にある扉を指した。 恥ずかしくて彼の顔をろくに見れないままお礼を言い、扉を開けた。 「んー?さがみん何か用事?」 机に向かっている金髪の後ろ姿が見えて、誰かの名前で呼びかけられた。 この人が店長かな…? 「あ、あのっ!」 「うん?」 キュルリと椅子が回って、座っていた人の表情が見えるようになった。 店長の割にとても若く思える。 キラキラの髪の毛をポニーテールにしていて、手にはゲームのコントローラを構えていた。 「表の貼り紙を見て来たんですけど、ここで雇って下さい!!」 祈りをこめて頭を下げる。 これで採用されなかったら、当分はバイトできない生活だ! そんな私の切羽詰まった空気に反して、店長は明るく笑った。 「いやー、キミ面白いねぇ」
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