面接はぎゃるげー?

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「出雲ぉ!!わしに秘密でアルバイトするとは何事じゃ!」 喝!と数珠を高く振り上げるおじいちゃん。 極度の心配性にため息が勝手に出る。 私がバイト探しに必死だったのは、この家が経営難だからなんだよね。 「おじいちゃんこの間のお客さんも追い返しちゃったじゃない! 元はと言えばおじいちゃんのせいなんだからね!?」 代々片桐家は神社の管理をしていて、お祓いも受付けてる。 でも頑固者のおじいちゃんがなかなかお客さんとうまくいかないから、家計は火の車。 私に叱られて、さっきまでの剣幕は消えてしまう。 「まあまあ二人とも、それくらいにして」 お父さんがオリオンを抱いてなだめにやって来た。 「出雲ももう高校生なんだからバイトの一つや二つは経験しておかないと。 ね?」 柔らかい笑顔に毒気を抜かれて私たちはいったん仲直りした。 三人がリビングに入ると、おいしそうな匂いでいっぱいだった。 お母さんが台所でころころと笑った。 「またあなたたちケンカしたの? 飽きないわねぇ」 石頭のおじいちゃんがいけないんだよ、と私はふくれっ面をする。 そこにゲームを切り上げた弟も降りてきて、夕食になった。 夕飯が終わると、私は部屋で日記を書く。 今日は充実した一日だったなぁ… とりあえずバイトで覚えることを書き連ねて、ノートを閉じた。 あれ? 日記になってないな。 まあいいか。 「うちの家族って危機感ないからなー… 私が生活費入れないとそのうちモヤシしか食べれなくなるよ」 ふとんに寝転び、独り言。 毎日モヤシの生活… イヤすぎる!! 私はしっかり稼ごうと天に誓った。 日曜日以外はバイトを入れたから、少しつらいかもしれないけど―― 「いっちょがんばりますか!」 私は自分を奮い起こして言った。 窓の外はきれいな星空で、きっと明日もいい天気だろう。 高校生活とバイト。 二つのことがスタートして、なんだかワクワクした。
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