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吹き飛ばされた男子生徒は右手を上げながらかすれた声で答えた。
聖菜はすぐにどこを怪我しているかを確認した。
(うわ~こりゃ結構痛そうだね)
見た目は軽傷だが、中では結構な怪我をしていることを聖菜は悟った。
彼女はその手を知識が若干豊富で、体を少し調べただけである程度の怪我の具合が分かるのだ。
あくまである程度。医者ほど正確には分からない。
彼女はすぐに周りの生徒に指示を飛ばした。
「なにぼーっと見てんのよ。早く救急車を呼んで!
保健室で治せる怪我じゃないわ!」
「わ、分かった!」
すぐに近くの生徒数名が彼女の指示に従った。
この学校では最近毎日のようにこのような物騒なことが起きるため、皆対応には慣れているのだ。
聖菜はそれを見送った後、自分の背後に立っている生徒に話しかけた。
「何でこんなことをしたの?」
「簡単な話だ。喧嘩をしたかったからさ。
喧嘩好きなお前なら分かるだろ?彩城聖菜。」
聖菜はゆっくり立ち上がると背後を振り返った。
そこには体格のいい一人の男が立っていた。目付きは鋭く、見ただけで怯えてしまう人もいるであろう。
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