15『神炎と調和』

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ハウディスが何をしようとしているかをすぐさま悟った俊和は彼を呼び止めた。 「待てよ。 結界を突破する方法、本当に他にはないのか?」 「あれはとっくに実行している。 これは最初に言ったはずだが?」 同じことを尋ねられたのか少し苛ついた口調で返すハウディス。 しかし、俊和は引き下がらなかった。 「俺達の力を使ってもか?」 「無理だ。」 希望を持ってハウディスに尋ねたはいいがきっぱりと否定されてしまったため、俊和は黙り込んでしまう。 その反応を見たハウディスは少し困った表情になった。 「初めからこうするつもりだったこちらとしては今更力になると言われても困るんだがね。 最も、君達を結界解除に巻き込むわけにはいかないから結果は変わらなかったかな。」 「初めからって、貴方いつからこんなことを考えていたの?」 ハウディスの発言を聞いた聖菜は驚いた様子でそのことを彼に尋ね、ハウディスはそれを見て少し楽しくなったのは嬉しそうに笑った。 「少なくとも君達と出会う前からだよ。 厳密には魔物に堕ちた直後ではないから初めからではないのか。」 そう言った彼は突如苦しそうに咳き込んだ。 見ればハウディスは口から血を吐いていた。 傷が広がってきているのだろう。 「ラインオルト、ハウディスの治療を!」 「必要ない!」 見ていられなくなった俊和はラインオルトに治療の指示を出すが、すぐさまハウディスに拒否されてしまう。 彼の口調はかなり強く、心の底から治療を拒んでいることが悟れた。 治療を拒んだハウディスはラインオルトが治療の手を止めたことが分かると結界に向かって魔力を高め始めた。 「我が命、ここに捧げる。 導け、戦士を。 滅ぼせ、悪の心を!」 彼が杖を結界に突き付け、詠唱をすると赤いオーラのようなものが結界へ流れ始めた。 あれで結界を解除するつもりなのだろう。 その作業をしながらハウディスは再び口を開いた。 「魔物に堕ちた当初の私はギスアーク討伐を達成出来なかったことが異常なまでに悔しかった。 だからこそ私はどんな姿になってでも生き延びたいと祈ったのだからな。 …だが、サイフィと共にギスアークの情報を集めていくうちに考えが変わったよ。」
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