15『神炎と調和』

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「どうして?」 ハウディスの作業をただ見つめながら絵梨花は彼に尋ねた。 本当は助けてあげたいのだが、ラインオルトが動かないということはどうしようもないと判断し、動いていないのだ。 その証拠に今彼女は露骨に悔しそうな表情をしていた。 その絵梨花の様子を見てもお構い無しにハウディスは作業を続けながらその問いに答えた。 「気付いたのだよ。 私が世界を救うお膳立てをするのは構わないが、私自身が世界を救うことは決してあってはならないことに。」 「どういう意味だ?」 言葉の意味がよく分からなかった大鬼は首を傾げながら彼に尋ねる。 他のメンバーもよく分からなかった表情をしていた。 「意味は単純だ。 魔物である私がギスアークを倒せば人はその矛先を今度は私に向けてくる。 そうなってしまえば争いは終わらない。 私がギスアークを倒す意味がない。 それに私はかつて世界を救った四英雄の一人。 その私が魔物になって世界征服をしようなどと勘違いされては私一人の問題ではなくなってしまうからな。」 「四英雄の仲間や家族である俊和にまで批判が行くことを恐れたのね。」 ようやくハウディス言いたいことを悟った聖菜は忌々しげに呟いた。 彼女の言葉で残りのメンバーもハウディスの言葉の真意を理解した。 「だからこそ私は私以外にギスアークを倒せる見込みのある者を探した。 探してはその実力を試したのだ。」 「4月に高久山を襲撃したのはそれが理由だったのか。」 ようやく今まで謎だったことが明らかになっていくことに大鬼は特に大きな反応見せず、当時のことを思い出しながら誰になくそう言った。 その言葉にハウディスは頷く。 「あの時も君達の実力を試すために襲撃したのだよ。 そして君達ならばギスアークを倒せる見込みがあると私は判断した。 だが、当時の君達はまだ未熟だったから、何とかしてより強くさせなければならなかった。 だからこそ私はあれ以降、君達が強敵と戦えるよう目の前へ現れては情報を与えていたのだよ。」 「全ては貴方より強くなるため。 そしてギスアークを倒すために、ですね。」 今までのハウディスの行動が完全に明らかになったところでラインオルトは簡潔に話をまとめた。
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