15『神炎と調和』

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この仲間と出会えたことがこんなにも嬉しかったと感じたことはあっただろうか。 そう考えたらラインオルトは俄然やる気が出てきた。 「さあ、皆さん。 いつまでもここで話していてはギスアークに先手を打たれても文句言えませんよ。 行きましょう!」 ラインオルトはそう言いながら全員の背中を軽く叩くと先に進むよう促した。 彼の言葉に一同は頷くと俊和が代表で扉に手をかけた。 彼が力を入れると扉は重い音を立てながらゆっくりと開いていった。 彼らは扉が完全に開くのを待ってから、静かに中へと入っていくのだった。 決戦の舞台へ― 扉の先は非常に広い部屋になっており、まるで戦うことを想定して作ったかのように十分な広さがあった。部屋全体は赤い壁に包まれており、ギスアークがここで私生活をしていたのか椅子などが置かれていた。 ラインオルトの言う通りここがギスアークの拠点なのだろう。 部屋の一番奥では派手な椅子に腰掛けるギスアークの姿が。 彼はそこで俯いていたが、俊和達の足音を聞き取ると顔を上げた。 「来たか。 ハウディスは自らの命を絶ち、貴様らに世界を託すことにしたのだな。 全く、最後まで哀れな男よ。」 「ハウディスの行いは無駄だったわけじゃないさ。 それに俺達が託されたのはハウディスの想いだけじゃない。 学校の皆やこの戦いで命を落とした人達の想いも背負ってんだ! 人のことを嘲笑うことしか出来ないお前の言葉なんかで俺達の決意は揺らいだりしない!」 椅子から立ち上がりながら言い放ったギスアークの言葉に俊和は槍を突き付けながら言い返した。 その言葉に対してギスアークは鼻で笑う。 「始めからこの程度の言葉に動揺するとは思っておらん。 貴様らがハウディスを負かしてここへ来た以上、貴様らはハウディスよりも実力があり、強い意思があるということだからな。」 彼はそう言いながら貯蔵空間より自身の愛刀を呼び出した。 そこから放たれる強い殺気を感じながらも今度は聖菜が口を開いた。 「ギスアーク、貴方には分からないのね。 仲間という存在がどれだけ自分の支えになるかということを。」 「分かりたくもないな。 我は仲間だと思っていた奴らから突き放された身だぞ? 支えになどなるものか!」
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