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そのためギスアークはニヤリと笑いながら数歩こちらへ歩み寄ってきた。
彼の動きに合わせて俊和達も戦闘態勢に入る。
「さあ、始めようか。
一人残らずこの世から消し去ってくれるわ!」
今、俊和達の最後の戦いが幕を開けた―
「早速隊列を分けるぞ!」
開始早々俊和は全員に指示を出しながらギスアークへ向かって走っていく。
その指示に大鬼は俊和の後に続き、聖菜と絵梨花は中衛で前衛の二人をサポートすべく魔術の詠唱を開始。
ラインオルトもまた味方の負傷に対応出来るよう治癒術の詠唱を始めた。
「二人共受け取って!
ライト・ウインド!」
まずは聖菜の補助術が発動。
俊和と大鬼の背中から追い風が発生し、二人の移動速度が上昇する。
「私も続くわよ。
バルキリー・テイン!」
続いて絵梨花の補助術が発動。
二人の武器は赤い光に包まれた。
包まれた途端二人はさらなる力が体に宿ったのを感じたため、絵梨花は力を強化したのだと悟った。
「俺はこれです。
ヒーリング・サークル!」
最後にラインオルトが治癒術の魔方陣を地面に展開。
すると俊和達の傷がほんの少し癒えていった。
この魔方陣は中にいるラインオルト以外の味方の傷を少しずつ癒す効果がある。
彼らは海とハウディスの戦闘で既に負傷しているため、ラインオルトは真っ先にこれを選んだのだ。
彼はここに来る途中、応急薬と絵梨花の魔術である程度魔力を回復させたため、全員の傷を一気に回復させることも出来たのだろうが、魔力の消費を考えてこちらを選んだのだろう。
自分が対象にならない術を選んだ辺り、意地でも攻撃を受けるつもりはないのが分かる。
俊和達の陣形が整うのを待っていたのかギスアークはここにきてようやく行動を開始した。
「消えい!」
彼は大きく息を吸うと高熱のブレスを吐き出した。
俊和達は必然的に直線上で並んでいたため、前衛が避けると中衛へ、中衛が避けると後衛に攻撃が当たってしまうのだ。
これは俊和達にとって手痛い先制攻撃となった。
しかし、彼らは冷静だった。
「百華炎十槍!」
「岩竜連撃!」
俊和と大鬼は各自得意技を放ち、ブレスを迎撃。
槍による十字斬りとダブルクローによる連撃は見事ブレスを打ち消したのだ。
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