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打ち消せたのは聖菜と絵梨花の恩恵も大きいだろう。
それを見たギスアークは、ほう、と少し驚いた声をあげた。
「我がブレスをこうも難なく打ち消すとは、この一ヶ月で腕を上げたようだな。」
「当たり前だ!
俺達はてめえを潰しに来たんだからな!」
ギスアークの言い方が気に入らなかったのか大鬼はムキになって言い返した。
その言葉にギスアークは鼻で笑う。
「喚くだけなら雑魚出来る。
本当にその意思があるなら実行して見せろ!」
彼はそう言い放つと攻撃を再開。
剣先に雷の玉を生み出すとそれを俊和と大鬼に向けて放った。
「俊和、俺が正面からあれを消すからお前は側面からギスアーク(やつ)を狙え!」
「分かりました!」
ギスアークの攻撃を確認した大鬼は俊和に指示を出しながら行動を開始。
たった一人で雷の玉を迎え撃つ。
「大鬼、一人じゃ危険よ!」
後方で大鬼の指示を聞いていた絵梨花は彼を援護すべく走り出す。
「私は俊和を援護するわ!」
一方聖菜は物凄い速さで二人の脇をすり抜けると俊和とは反対の方向からギスアークに迫った。
そこまで俊和達が動いたところで雷の玉は大鬼の目の前まで接近。
彼はダブルクローを正面で構えると魔力を高めた。
背後では絵梨花がその背中に手を当てる。
「絵梨花、俺に地属性の魔力を送れ!」
「任せて!」
指示を受けた絵梨花は始めからそうするつもりだったのか、すぐさま彼に魔力を送り始めた。
「地属性には雷が効きにくいってことを教えてやるぜ!」
絵梨花から魔力を受け取った大鬼は不適に笑うとそのまま雷の玉に向かって突撃しようとしたが、まるでその瞬間を待っていたかのように雷は拡散。
正面にいた大鬼はもちろん、彼の背後にいた絵梨花にも、ギスアーク本体を狙っていた俊和と聖菜にも雷撃は襲い掛かった。
「くそっ、厄介な真似しやがって!
ん?
奴はどこだ?」
「皆さん、上です!」
大鬼は苛々した口調で呟きながら雷を自らの魔術で打ち消しながらギスアークの姿がいなくなっていることに気が付く。
直後唯一無害だったラインオルトの警告が響いたため、一同の視線は上空へ。
そこには今まさに急降下しようとしているギスアークの姿が。
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