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「砕けろ、飛翔天撃(ひしょうてんげき)!」
勢い付けたを巨体は左拳突き出しながら急降下した。
その一撃は大鬼と絵梨花を狙って放たれたが、彼らはギリギリのところでこれを回避した。
「この人数相手にそんな大技やっていいのかよ?」
反撃の一手としては悪くなかったのだが、空振りしてしまったギスアークは大きな隙を作ってしまう。
この隙を狙って俊和と聖菜は彼に接近したのだ。
しかし、ギスアークはニヤリと笑った。
「問題ないな。
デストロイトルネード!」
彼は左拳を地面に突き刺したまま剣を地面と水平にして構えるとその場で回転し、自身を守るように竜巻を発生させたのだ。
この竜巻により俊和と聖菜の追撃は阻まれる。
「こんな竜巻―
紅蓮走破(ぐれんそうは)!」
「私も行くわよ!
閃月華翔(せんげつかしょう)!」
追撃を阻まれた二人だったが、お構い無しに技を放つ。
俊和は槍に炎を纏わせながら突撃し、通過した場所に炎の残骸を残す技を放ち、聖菜は薙刀で半円を描くと続けて自身の頭の上で薙刀を回転させ、勢いを付けたところで降り下ろす技を放った。
二人の技をまともに受けた竜巻は消滅したが、あくまでダメージを受けたのは竜巻であってギスアーク本体は無傷だった。
「ふん、ここまで我の術技を容易く凌ぐとはな。
小手調べは不要のようだな。」
「小手調べしたければ好きにしなさい。
その間に倒されても知らないから。」
まだ余裕のあるギスアークの態度が気に入らないのか聖菜は彼の言葉に挑発で返す。
対するギスアークは彼女の言葉を軽く無視すると一番遠くにいるラインオルトの方へ視線を向けた。
「そろそろこの魔方陣も厄介だな。
奴も退屈そうだから少し面白くしてやるか。
うるぁ!」
ギスアークは一人そう呟くと左拳を地面から抜き、代わりに剣を地面に叩き付けた。
するとラインオルトの魔方陣はたちまち漆黒の魔方陣へと色が変わってしまった。
「魔方陣の塗り替えですか!?」
何をされたのか真っ先に気が付いたラインオルトはすぐさま再展開の準備に入る。
しかし、すぐさまギスアークが地面より闇の槍を出現させる魔術を放ち妨害されてしまう。
「何だ?
急に体が重くなったぞ。」
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