15『神炎と調和』

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彼女はギスアークが氷のバリアを出現させた場所に炎を飛ばすとバリアはあっさり消滅。 これで俊和と聖菜は再び攻撃可能に。 「ちっ、小賢しい!」 すぐさま手を打たれたことに気が付いたギスアークは攻撃の手を止め、回避に専念。 「万山の孫、まずは貴様から八つ裂きにしてやる!」 俊和と聖菜の攻撃を掻い潜ったギスアークはそう言いながら絵梨花の方へ突撃。 剣が届く距離まで接近すると上段から勢いよく振り下ろした。 「うるぁ! む? 手応えがなかっただと?」 「こっちよ!」 「うがぁ!」 狙われたことに気付いた絵梨花は剣が振り下ろされる瞬間に空間移動を発動。 ギスアークの後頭部に移動するとハンマーを造形し、彼の後頭部を思い切り殴った。 狙いは決して悪くなかったのだが、残念ながら気絶にまでは至らなかった。 (確かに後頭部へ当てたはずなのに気絶しないなんて…) もう一撃は厳しいと判断した絵梨花は反撃が来る前にギスアークから離れ、呼吸を整えた。 「お前すげぇな。 亜種人じゃなくなった今でも空間移動使えるんだな。」 「この一ヶ月でかなり練習したからね。 でもハウディスに比べれば全然燃費が悪いわ。」 呼吸を整えていたら大鬼が近付いて来たため彼女は正面を向いたまま答える。 それを聞いた大鬼は、へっ、と笑った。 「ようやくあの野郎に一撃入れられたんだ。 十分な仕事だったよ。」 大鬼にはそう言ってもらえたが絵梨花本人はどうも納得がいかなかった。 何故なら今までに比べると明らかに爆発力が落ちてしまったからだ。 今の彼女は安定性を手に入れた代わりに爆発力が落ちた状態。 なまじ亜種人であった期間が長かっただけにどうも今の攻撃力に不満を覚えてしまうのだ。 (でもこの安定性は亜種人の頃には得られなかったもの。 有効に使わなくちゃ。) 彼女は自分自身にそう言い聞かせると行動を再開した。 「ギスアーク! 絵梨花会長ばかり狙ってないでかかって来い!」 ギスアークの矛先が明らかに絵梨花の方へ集中しているため、彼の気を反らすべく俊和が挑発する。 するとギスアークは片目だけそちらに向けた。 「ギャアギァアうるさいガキが。 ならばまとめて相手してくれるわ!」
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