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ラインオルトの意見を聞いた俊和は半ば予想通りの返答が来たため、肩をすくめながらそう返す。
今まで通り囮ととどめに別れるのはいいが、問題は誰がとどめ役になるかだ。
今までは誰かしらが敵に対する有効な攻撃を持っていたが、今回に限っては適任者がいない。
故に彼らは人選に悩んだ。
しかもこの話をしているのは俊和とラインオルトのみ。
つまり、二人以外の誰かになった場合は指示を出さなければならないのだ。
そうすればこちらの作戦はギスアークにもバレてしまう。
それだけは避けたかった。
「いつまでも喋っているわけにはいかないのでひとまずは戦闘を再開しましょう。
俺は少し作戦を練っておきます。」
「分かった。
頼んだぞ。」
いつまでコソコソと話していたらギスアークに狙われると悟ったラインオルトは俊和に戦闘へ戻るよう促す。
俊和はそれに頷き、戦闘へ戻っていく。
ラインオルトはその背中を見送りながら空中で今まで見てきたギスアークとの振り返っていた。
(戦闘開始から今までに一番活躍した人がとどめ役に適任なはず。
と言うと誰でしょうか?
…おそらくあの人でしょう。)
彼は少し悩んだ後に人選を決めると指示を出すべく行動を開始した。「さあ、行くぞ!」
戦闘を再開したギスアークは地面より火柱を出現させる魔術を放つとさらに地震を発生させて俊和達の回避を困難にした。
「大鬼さん、地震を弱められますか?」
「任せろ!」
地属性には地属性で対抗すべく俊和は大鬼に地震を弱めるよう指示を出す。
指示を受けた大鬼はすぐさまそれに取りかかり、俊和は火柱の中心へと突撃した。
「神炎よ、悪の炎を払え!」
彼が神炎を纏わせた槍で一閃すると周辺の火柱は消滅。
それとほぼ同時に地震も緩やかなものとなった。
その隙に聖菜がギスアークとの距離を一気に詰める。
「覚悟!」
「遅い!」
彼女は薙刀を腰だめに構え槍のように突撃したが、あと一歩のところでギスアークに防がれてしまう。
しかし、彼女の仕事はこれで良いのだ。
「ミリオン・スラスター!」
ギスアークの注意が聖菜に向いた一瞬の隙を狙って絵梨花は鋭い水の槍を彼の頭上へ無数に降らせた。
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