15『神炎と調和』

25/51
前へ
/770ページ
次へ
「捕まえたわよ。」 「させん!」 何をされるかは分からなかったが、ギスアークは直感でここに留まってはいけないことを悟り、彼はその場から離れようとした。 「それこそさせないわよ!」 直後、ギスアークを逃がすまいと聖菜が飛び去ろうとした彼の右足を攻撃。 「ぬぅ…」 これにより彼はバランスを崩し、飛び去ることに失敗する。 これで絵梨花は攻撃を当てる絶好のチャンスを得たのだ。 「絵梨花さん、行きますよ!」 そこへ予め打ち合わせをしていたラインオルトが乱入。 彼はギスアークの注意が自分から反れているうちに魔術の詠唱を済ませており、絵梨花が攻撃を仕掛ける瞬間を待っていたのだ。 詠唱していたのは強化魔術。 ラインオルトは俊和と作戦会議をした後、絵梨花がとどめ役に適任だと判断し、準備をしていたのだ。 彼の強化魔術を受けた絵梨花は七色の光に包まれながら攻撃を開始する。 「行くわよ! 数多の武具を生み出す造形の力、見せてあげる!」 初撃に普通の片手剣を造形し、一撃入れて怯ませると続けて双剣に切り替え再度攻撃。 さらに斧、太刀、大剣、弓、ハンマー、槍などあらゆる武器を造形しては攻撃を入れていく。 その速度は少しずつ上昇していき、最終的には目で追うのが困難なレベルに。 「集え、属性よ!」 武器による攻撃を十分に終えた絵梨花は続けてよく出す八つの球体を生み出した。 彼女の決め技の一つ、ビッグバン・エレメンツを使用する際に使う八属性の球体だ。 これでギスアークを囲うと自身は白銀の剣を生み出した。 「借りるわね、お祖父ちゃん。」 「貴様、それは―」 ギスアークはその剣を見た途端ハッとなったが、絵梨花は構わず技を続行した。 「最終奥義、イノセント・オーバークロス!」 彼女が球体に指示を出すと八つの球体はいつものように爆発するのではなく、ギスアークへ向けて一斉に突撃。 八方向からギスアークの体を交差するように貫くと、とどめに絵梨花自身が手にした剣で彼のお腹を切り裂いた。 今までの造形術技の集大成のような最終奥義、イノセント・オーバークロス。 これを全て当てた絵梨花は動かなくなったギスアークを見て勝てたのだと思ったが、俊和や聖菜はそう思わなかった。
/770ページ

最初のコメントを投稿しよう!

130人が本棚に入れています
本棚に追加