15『神炎と調和』

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周囲を見渡しても何か仕掛けがあるようには見えなかった。 「伝えたいこと?」 とりあえず何が来ても対応出来るよう周囲を警戒しながら俊和は青高に尋ねる。 すると彼女は面白そうに笑った。 「そんなに警戒しなくても大丈夫よ。 ちょっと個別で話がしたくて呼び出しただけだから。 さて、早速本題に入るわよ。 俊和君、貴方は神炎と普通の炎の最大の違いって分かる?」 「神炎は火炎と蒼炎が混ざった力で火炎と蒼炎が普通の炎。 ってことですか?」 何故突然そんなことを聞かれたか分からない俊和は何だか自分でも意味不明な返答をしてしまう。 それを聞いた青高はため息をついた。 「ハズレよ。 やっぱり分かっていなかったのね…。 正解は 『神炎は他属性とは絶対に融合出来ない』 でした。」 彼女は人差し指を俊和の顔の前で振りながら答えを教えてくれた。 「はぁ…」 何を伝えたいのか未だに分からない俊和はポカンとした様子で返事をする。 そんな彼を放置して青高は次に聖菜の方を向いた。 「さて、聖菜ちゃん。 貴女が最近習得した調和の風。 これの風の最大の特徴は何だったかしら?」 「他属性に邪魔されることなく術技を繰り出せることです。」 これに関しては自信があったため、聖菜は悩むことなく答える。 すると青高は嬉しそうに笑った。 「正解、よく出来ました。 これでお互い神炎と調和の風に関しては問題ないわね。 さて、ここからは私が一番伝えたい内容よ。」 前置きが長かった気がしたが、青高からふざけた雰囲気がなくなったため二人も表情を引き締める。 「あらゆる力を打ち消す神炎とあらゆる力に無効化されず繰り出せる調和の風。 この二つの力って実は矛盾しているのよ。 だってそうでしょう? 神炎は全てを打ち消すって言ってるのに調和の風はそれを無効に出来るって言ってるのよ。」 そんなこと考えもしなかった俊和と聖菜はそう言われて顔を合わせてしまう。 すると青高は言い方が悪かったと感じたのか少し表情を崩した。 「これはあくまで敵同士だったらの話よ。 深く悩まなくても心配ないわ。 大事なのはこの二つが実質対の関係にあることなのよ。」 「と言いますと?」 まだ話の核心が分からない俊和は彼女の言葉に首を傾げる。
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