15『神炎と調和』

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彼の隣では聖菜の似たような様子だった。 そろそろ伝えたいことを理解してほしいのか青高は言葉を選びながら続ける。 「対の関係にある力って中々手を組まないイメージがあるけれど実際はそうかしら? ほら、現に貴方達は仲間同士よ。」 「私と俊和が仲間同士で、神炎と調和の風は対の関係…。」 聖菜の呟きを聞いて俊和は青高の言いたいことが分かった気がしたため、それを口にしてみる。 「もしかして神炎と調和の風を属性融合させようとしているんですか?」 「ビンゴ。 その通りよ。」 ようやく伝えたいことが伝わった青高はそう言いながら一安心した表情になる。 「考えてみなさい。 もしも相手の攻撃を神炎で打ち消して、相手の防御を調和の風で無効に出来たら強いでしょう?」 「確かにやれれば間違いなく強いですけど、そんなこと出来るんですか?」 青高の提案はかなり名案だったが、簡単に出来そうには聞こえなかった。 そのため聖菜はそれを確認する。 すると青高からは予想通りの返答が来た。 「簡単には出来ないでしょうね。 何よりこれに関しては前例がないから実際出来るかどうかは未知数だわ。 だから私はあくまで提案に留めているの。 これは万山さんと相談して決めたことよ。」 彼女の言いたいことは俊和と聖菜にも理解出来た。 これがもし本当に出来るなら強力な切り札になるが、実際に出来るか分からないものに頼るのは好ましくない。 だが、それでももう少し早く提案してほしかったと二人は思った。 「今後もこれは修行のメニューには入れないからやりたいなら個別でやりなさい。 ただし、何が起こるかは保証出来ないからやる際には十分に注意しなさい。 そして仮に出来たとしても乱用は絶対に控えなさい。 ただでさえ体に負担がかかる神炎と調和の風を同時に扱うわけだから、その負担は何倍にも跳ね上がるわ。 いいわね?」 属性融合をやるにあたっての注意事項をあらかた説明した青高は真剣な表情で二人に確認を取り、二人はそれに無言で頷く。 すると青高は伝えたいことを言い終えたのか教室を去ろうとした。 「それじゃ私は先に屋上へ戻っているわね。」 彼女はそう言うと二人の返事も待たずに教室を出て行った。
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