15『神炎と調和』

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先に出て行ったのは間接的に今から練習しろ言っているようにしか見えなかった。 「やってみる?」 「ああ、そうだな。」 取り残された二人はしばらく黙っていたが、やがて聖菜がそう口を開いたため、俊和はそれに頷いた。 とは言えそんなこと考えもしなかった二人はまずどうやれば融合出来るかが分からない。 そのため色々試さなくてはならなかった。 「普通の属性融合と同じなら武器でもいいから互いに触れ合った方がいいわよね?」 何も案が浮かばなかった俊和に対して聖菜は最初にそう提案する。 こういうところは頼りになるな、と俊和は改めて感じながらまずはそれを実行してみることにした。 二人は互いの武器を重ねると集中するために目を閉じた。 しばらくすると互いに魔力が高まり、今度はそれを相手に送っていく。 (感じる…。 聖菜の風の力。 これを………ん?) 最初は順調にその力を送れていた二人だったが、その力と自身の力を融合させようとしたその時― 「うわっ!」 「きゃあ!」 突如二人は感電したかのような痛みに襲われ、数歩後ろに下がってしまった。 今のが青高の言っていた未知数のリスクかもしれない。 「これは苦労しそうね…。」 「…そうだな。」 呆然と立ち尽くす聖菜の呟きに俊和はそう答えることしか出来なかった。 その後も彼らは毎日のように練習したが中々成果は出ず、成功したのはたったの一回。 しかもその時持続出来た時間はわずか10秒程度で切り札と言うには程遠い結果しか出せなかった。 そのまま彼らは決戦当日を迎えてしまう― 時は戻り現代― 練習では何度も失敗したが、今日は不思議と成功出来る気がしていた。 二人は迫ってくるギスアークを完全に無視して属性融合を進めていく。 「死ねい!」 そうこうしているうちにギスアークは目の前まで来てしまい、彼は二人に向かって剣を振り下ろそうとしたが、見えない壁に阻まれたのかあと一歩のところで彼は足を止めてしまった。 「何ぃ!? 何故だ! 何故これ以上近付けん!」 原因不明の妨害にギスアークは苛つきながら剣を振るうがどれも二人には当たらなかった。 その間にも二人の属性融合は順調に進んでいく。
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