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薄暗い部屋の中から聞こえる複数の声。
『これじゃあ今月もダメだな…』
『税を上げて財政に回すか』
『だが最早国民にはそのような経済力は…』
『逆らわない奴は粛清してしまえばいい。見せしめとしてな』
『王子の命令とすれば誰だろうが従わざるを得ないだろう』
ワインの入ったグラスをテーブルに置く音が酷く響き渡る。
『失礼します、村の男が王子に謁見したいと』
扉が開かれひざまずく城の兵。
大臣達は不気味な笑みを浮かべ、城へと足を進めた。
『俺は王子に会いたいと言ったはずだ、王子を出せ』
鋭い視線を向けながら赤い鎧を身に纏った男は言い放つ。
『王子は今お忙しい。用件であれば代わりにお聞きしよう』
『税を下げることを要求する。俺は両親を失い、唯一の家畜も失った。国に納められる物はもう何もない』
『残念だがそれは聞き入れられない。つい先程王子により税の引き上げが決定したばかりなのです』
『っ…これ以上税を上げられれば俺達国民は死んでしまう!!』
『お前達国民は王子に取っては雑草に過ぎない。口を慎め、愚民の分際で』
『俺達にだって生きる権利はある!王子に会わせろ!』
『もういい、つまみ出せ』
大臣の非情な一言により拘束される男。
『っ、離せ!離せっ!雄輔ぇ!!』
王子の名を叫ぶも届かず、赤い鎧の男、つるの剛士は城を追い出された。
【お金が足りなくなったなら
愚民共から搾り取れ
王子に逆らう者達は
粛清してしまえ】
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