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「くぁ~ジジィめ、いいじゃねぇかよ!
オレの今日の分の仕事は終わったんだぜ!?」
「だァまれ!!
依頼がまだ終わっとらん職人に休みなんぞ有るわけなかろォが!」
「イッテェ!
パワハラだ! 横暴だ! ドメスティックバイオレンスだ! 労働基準法違犯で訴えゴガァッ!」
言葉の最後が悲鳴に変わったのは、ブラムが異国の正体不明のジュードーとか言う武術の投げ技を受けてハデに吹っ飛ばされたからに過ぎない。
凡そ半世紀分くらい年齢差がある筈なのに、その差を感じさせない圧倒的な威圧感がそこにある。
「おいジイサン。そろそろいいか?」
周りの拍手を受けつつ、涙目でギブを連呼するブラムへマウントポジョンから怪しげな技で肩を折りそうな勢いで背中側に捩っているシドーの背中をトントンと叩く男が1人。
このカフェの常連の1人、180の長身で引き締まった肉体、茶髪でタンクトップとくれば、ディノだ。
「おぉディノか、なんじゃい。相変わらず危ない事しとるんか? 見て通り、ワシは今児童虐待中で忙しいんじゃ」
「平然とんな事と言うお前に言われたかねぇよ」
「ディノさん、助けイダダダッ!」
「はぁ……仕事だ、仕事」
呆れ気味に漏らしたディノのその言葉を聞いた途端、元々恐いシドーの顔付きが更に険しくなる。
夜道で見かければ職務質問処か悲鳴を上げられるくらいに。
「なんじゃそれを先に言わんかい。
おいブラム、いつまで寝っ転がっとるんじゃ、さっさと起きんかい!」
「り、理不尽だ……」
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