二人の幸せ

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「ち…違っ…殴られた事が、じゃなく、あなた達の愛が本物だった事が嬉しかったんですよ。」 穏やかに、そして本当に嬉しそうに笑い牧師さんがそっと立ち上がる。 教会を振り返り、その優しい瞳が一瞬曇った。 「……この教会で式を挙げる方はたくさんいます。僕が見届けた方々の数も数え切れない程。だけど…どんなに永遠の誓いを立てても、最近は別れてしまう人が多いんです。」 そうだ、そういえばニュースでそんな事を言っていた気がする。 「…そんな方々を見ているうち、僕は牧師とはなんなのかと…未熟にも迷いを抱いてしまった。そんな時でした。あなた達がこの教会で式を挙げたのは。」 牧師さんの視線が私達に向けられ、またふっと細められた。 見ているだけで安心するような…そんな笑顔だ。 「僕の前で永遠を誓い合うあなた達は、本当に幸せそうで…互いを信頼する気持ちが他人の僕にすら分かった。その時僕にはあなた達の未来が見えた気がしたんだ。」 「私達の…未来?」 「…病める時も、健やかなる時も…共に互いを愛し、労り、支える…そして信じ合う。そんな…あなた達の未来が。」

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