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「…ってことだから。
今度からは、ちゃんと意識して
きちんと治してねエース。」
「はい!弓さんアドバイスありがとうございました!」
鈴々は綺麗なお辞儀をすると
もとの練習位置へと戻って行った。
「…で?わかったでしょ?
選手の時とまったく違うってこと。
下手したら…私達と同じ事になってたかも知れなかったんだから」
「…“私達”?」
どういう事だろう?
俺、この子に怪我のこと言ったっけ?
「…久野 空。
ジュニアチーム清川ホールズ不動のエース、
刈田第二中学の2年まで投手として活躍し
夏の大会で左足を怪我。
選手生命を終える。」
「…なんでそこまで…。」
驚きが隠せなかった。
信じられなかったから…。
すべて真実、
すべてあっていた。
なんでこの子はここまで俺のことを知ってるんだ?
「ふふふっ。露原 真矢美。
知ってるよね?」
―知っている名前だった。
そういうことか…。
露原 真矢美。
清川ホールズでは
女の子ながら強肩で
俺と同じく“不動”の正捕手。
中学時代はマネージャーで
その能力を発揮しなかったが
戦術の天才だった奴だ。
…なるほどな。
苗字が同じ“露原”だもんな。
気づかなかったぜ…。
「…ということは
マヤヤ(真矢美のあだ名)の妹か…。」
(そうか…あいつに妹がいたのか…。
あの鬼畜野郎に。)
正直なことを言うと、
真矢美いや、マヤヤは鬼畜ドSだった。
サインミスなんかしてみろ…
あとには試合後にもかかわらず
ベースランニング100回だぞ。
とにかく、それくらい鬼畜な野郎だった。
まあ一応、高校は一緒だが…話はしてないな…。
ってか、話したくもないし。
「うん。私は妹だよ」
「なるほどなぁ…妹かぁ…。
たしかに天才なわけだ」
「ふふふ…どうも。」
(…お姉ちゃんが心配するような人だから
どんな感じか気になったけど
こんなダメダメだったなんて
選手の時は一応かっこよかったのになぁ…。
はぁ…こんなのより
お姉ちゃんを監督…にしようっていっても
絶対にみんなが大変なことになるからな~。
…ん?まてよ…あ、いいこと考えた♪)
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