3×鬼才現る

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日が傾いてきたころ、 俺は自転車には乗らず、 自転車を押しながら、 鈴々と帰路をたどっていた。 「空さん、そういえば空さんって 小学生から野球をやってたんですよね?」 横でゆっくり歩く鈴々の俺への質問。 「そうだよ。 鈴々も知ってると思うけど、 清川ホールズでやってたんだ。」 「えっ!?あの清川ですか!?」 驚いた様子で鈴々の声が裏返る。 「う、うん。ってか大丈夫?声が…。」 「あ…だっ大丈夫ですっ!」 (うぅ~っ…恥ずかしい…) 「で?清川がどうしたの?」 「え、空さん知らないんですか? 清川ホールズは今、 この辺りのジュニアチームでは最強レベルのチームで ここのところ勝ったチームは いないってくらい強いチームですよ」 …なんか凄いチームになってるな…清川。 昔なんかマヤヤのおかげで勝ててたチームだったのに。 「…空さん。」 「ん?」 「私、どうしてもあのチームに勝ちたいです…ううん、私はみんなで大会に…みんなで野球がしたい…。」 「…どうしたの? 何か裏がある見たいな話しっぽいけど…。」 「空さんには、まだ言ってなかったですね…実は」 それは、俺が鈴々と出会うよりも一週間も前の出来事。 「ある日、練習中にいきなり、 清川のチームの人達が来て、 弓さんにこう言っていったんです。 『こんな“お子ちゃまのボール遊び”見たいなところに君見たいな“選手”がいるなんてもったいない! 君には是非ともうちのチームに来てもらいたい』って。 さすがに弓さんも怒りました。 『ボール遊び? 私達は“野球”をしているの! そんな他のチームを侮辱するような いかれたクソッタレチームに 誰が行くもんかバーカ!』って。 …さすがに私も同じような気持ちだったので、 すっきりしたような気持ちでした…。 でも清川は次にこう言ってきたんです。 『こんな“ボール遊びのチーム”なんかは さっさと無くしちゃいましょうかね。』と。 最初は意味がわかりませんでした。 でも、すぐに理解できました。 “野球で勝てないような弱いチーム”は こっちからチームを消してやる。 見たいなことでした。 かんとくすらいないチームでしたから、 チーム自体を潰される可能性も高かったんです。」
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