3×鬼才現る

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俺は思った。 いくらなんでも やり方がおかしすぎる。 もはや選手をとれなかった腹いせにしか思えなかった。 「で…どうしたの?」 「弓さんが条件を出しました。 “一ヶ月後、試合をして、清川が勝てば弓さんが清川に移籍、 私達、春浦が勝てば、 チームの存続、多少の援助の条件”を。 もちろん清川は条件をのみました。 何たって強いですからね。 負けることはないと思ってるんでしょうしね。」 「…凄いことになってたんだな…。」 (弓のあの選手の観察は その試合に勝つための策だったんだな。 やっぱり、あの姉妹は凄いわ) 「黙っててすみませんでした…。 こんな大事な話しなのに… せっかく、チームのかんとくに なっていただいたのに…。」 少し暗くなる鈴々。 「いいって! でも、そんなけ強いチームに あと残り…20日くらいで勝たないといけないのか…たしかに難しいかも知れない。」 鈴々の顔は更に俯いていく…。 「でもさ、鈴々が…鈴々がいれば 勝てるかも知れない。 いや、鈴々だけじゃなくて 鈴々もみんなも一つのチームとして戦えば勝てる! 絶対に!」 「空さん…。」 いつのまにか鈴々は顔をこちらに向けて俺を見つめていた。 「空さん…ありがとうございます。 なんか勇気が出ました。 そうですよね。 みんなが一つになって頑張れば 絶対に勝てますよね! 私、一人で勝とうとしてました…。 空さんのおかげで目が覚めました!」 鈴々の顔には幼さの目立つ可愛らしい笑顔が戻っていた。 その笑顔にホッとして 一瞬、ほんの一瞬だけでも 警戒をゆるめたのが間違いだった。 鈴々の笑顔につられて笑顔になっていた俺は その瞬間に後方から何者かに服の襟をものすごい力で引っ張られて後ろに頭からずっこけた。 「小さい子をナンパしてるなんて どこまで成り下がったのよ バカソラ!」 俺の頭上には水色のアレがまる見えの一番会いたくない鬼畜な魔王様がいらっしゃった。 「マ、マヤヤっ!? なんでこんなところに!?」 「綺麗な人ですね…空さんのお知り合いですか?」 焦る俺とは対象的にのほほんとする鈴々。 「まったく…何が 『なんでこんなところに』よ帰り道が一緒なんだから会うことがあったっておかしくないでしょ?」
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