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たしかに、
この帰り道のコース、
学校の帰り道と同じコースなのだ。
だから出くわすのも、
おかしくはないのだが、
さすがに唐突過ぎる出現(奇襲)には驚くしかなかったのだ。
「…で?俺に何のよう?」
「何のようじゃないわよ。
あんた…弓達のチームの監督になったって聞いたわよ?」
「え…あぁ、なったけど」
「『なったけど』じゃないわよ!
あんた…ちゃんと指導できるの?
ちゃんとみんなを見れるの?
頑張っているみんなを
“守れるの”?」
「どういうことですか…?」
鈴々がマヤヤの話にわってはいった。
「…まるで空さんが
私達をまったく見てないように、
まるで意味ないような言い方を
しますね…。
空さんはちゃんと…。」
「え…あ、ちょっとストップ!
あなた、話の意味がちょっと違うわ。
見てるとかそんなんじゃなくてさ、
こいつさ、足…やっちゃってるの…知ってるよね?
怪我して…、
またグラウンドに立って
いや、君達とグラウンドに
立った時って言うべきかな…、
もし…一緒に野球をしてて…
たとえ自分は指示してただけ
だとしても…もしその指示が
原因でその人の人生を奪ってしまったとしたら…。
あんたはちゃんとそれに向き合う覚悟はあるの?
…それを聞きたかっただけなんだ…。
ごめんね、いきなりわけわからない話に巻き込んじゃって、
…でもさ、これはこいつと私の問題でもあるの。
ねえ…空?
あなたは…それを覚悟で監督やってる?」
「…。」
重い言葉…。
言葉を返すことすら
無理…それくらいの重圧…。
でも…、
それでも…さ、
「あの…さ、
たしかにそういうのは
怖いさ…俺だって体験した…。
俺は自分のことだったから
軽く見たさ…。
…たしかにマヤヤの思い…
よくわかった…そして…悪かった。」
「…何よ…いきなり…」
「自分が指導したから
俺が怪我をした…とでも
思ってただろ?
実は本当にただの事故だしさ…。
それに…もし、
マヤヤが責任を感じてしまってるなら…さ、
もし…よければ…、
せめてもの罪滅ぼしとでも
思ってさ…コーチになって欲しいんだ。
正直、マヤヤがいたら
絶対に勝てるからさ」
「…馬鹿じゃないの?」
「…え?」
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