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グランドの隅に
ぽつりと置かれたベンチに
俺は一人座ってグランドの方を見ていた。
グランドには13人の少女達がキャッチボールをしていた。
そして、しばらくすると、
「かんとーく!
キャッチボール!終わりましたっ!」
他の子よりも一際小さな女の子が
俺のもとへと走ってきた。
俺の肘くらいまでの背丈の少女は
頭にはピンク色で鍔が青色の帽子、
右手に青色の投手用グローブ、
服装はピンクのユニフォームで
足には格好に合っている
黒く艶が目立ちにくいくらいまで汚れたスパイクを履いていた。
「かんとく…?」
その声に、
下に向いていた視点を
慌てて元の位置へと戻す。
すると、すごく近い位置に
少女の顔があった。
「うわぁ!」
「ひゃっ!すみません、かんとく!」
驚いた俺にすぐさま謝る少女。
そして謝るとすぐにまた発言をしようとしたが…、
「兄さん兄さん!キャッチボールが終わったんやけど…どうすればいいん?」
別の女の子が走ってきて、
少女の発言を掻き消すように発言した。
ちなみにだが、
俺はこの少女のお兄さんではない。
逆に言えば、
こんな妹達がほしいが…。
「じゃなくて、えっと…じゃあ、各自ペアで守備練習!」
「わかりました!伝えて来ますね!」
少女は、また他の女の子達のところへと
走って戻っていった…。
残った少し背の高い女の子が
笑顔で少女を送り出した俺に聞いてきた。
「兄さん…こんなところで
時間を捨てちゃっててええの?」
答えなんか簡単だった。
俺は少し笑いながら答えた。
「ああ。捨てるんじゃなくて
生かさしてもらうさ…。」
「ふふふ。難しくてよくわからないや。」
笑いながら、少女はグランドへ走って行った。
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