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たくさんの木が生えた林を
少女に導かれながらついていく…。
「ここです!」
林を抜けてたどり着いたのは、
もちろんながらグラウンド。
そこには
少女と同じ服装の女の子達が
各自様々な練習をしていた。
例として言うならば、
素振りをするもの、
壁当てをするもの、
走り込むもの、
キャッチボールをするもの、
隅っこでボケッとするものなど
様々だった。
「さて…の前に、
自己紹介忘れてましたね。
私は長瀬 鈴々っていいます。」
「すずちゃんか…。
あ、俺は久野 空。
よろしくね。」
「よろしくお願いします!」
自己紹介が終わったところに
鈴々より少し背の高い少女が走ってきた。
「すずちゃん、
この兄さんは誰?」
そのギリギリ怪しい関西弁の少女は
「あ、まふゆちゃん!
この人はね、
もしかしたらかんとくに
なってくれるかもな人だよ。」
「なんやて!?
かんとくこーほ!?」
「そうだよ!
ただね…“勝負で勝てば”
みたいだけどね」
「大人げねーな!」
まふゆと呼ばれた少女はやはり怪しい関西弁口調で喋ってくる。
「…たしかに大人げないことって言うのはわかってるけど…、
これは…」
俺が訳を話そうとしたら…
「…投手だから。
だよね?空さん。」
鈴々が代弁してくれた。
そう…これは投手どうしの
確かめ合いなのだ…。
バッターボックスまで
案内されると
俺はバットを握った。
軽い。
最初に思ったことだった。
「あ、もう少し重いのありますけど…」
そういうと、鈴々が別のバットを
持って来てくれた。
そのバットを受け取ると
「!?」
「あ、どうかしました!?」
俺の驚いた顔に鈴々が
心配そうに声をかけてくれた。
「え…いや、
なんでもないけど…、
このバットって…」
「私のですけど…」
鈴々が心配そうにこちらを見上げる。
鈴々から受け取ったバット…、
それは明らかに重かった。
それこそ800gは普通にあると思われるほどだ。
それを周りの子より小柄な鈴々が使っていると聞いたからには
またまた驚かされてしまっていた。
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