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稲造と別れた吾郎は、畦道をトボトボと歩きながら先程の話を頭の中で反芻していた。
稲造のおじぃはかなりボケている。
だが、ありもしない作り話をした事など今まで一度もなかった。
森の池に河童がいたという。
まさか河童が実在するとは思えないが、それはつまり、村の者ではない誰かが池にいたという事ではないだろうか?
若い女…誰だろう?
冷たい池の中を泳ぐ裸の若い女…
吾郎の想像はあらゆる方向に散っていく。
若い女の乳房を触ると、どんな感触がするのだろう?
女の股の間は一体どうなっているのだろう?
吾郎より四つ年上の加代という娘はずいぶんと良い臭いがするようになった。
若い女は皆そうなのだろうか?
しだいに吾郎の男根は固く膨らんでいった。
股の間が異様に熱い…
同時に吾郎の胸のうちには、激しい焦燥と熱い寂漠と暗い苛立ちが沸いて来る。
十を過ぎた頃から感じるようになったこの嵐のような感情が何なのか吾郎にはわからなかったが、稲造のおじぃが見たという河童に、何かしらの答えがあるように思えてならなかった。
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