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そしてハイデンが書き終えた摩訶不思議な模様はファミリエ召喚用の魔法陣、つまり今日はハイデンが一人前に慣れるかどうかのテストの日であるのだ。
「じゃあ手順は教えといた通りだからな」
「わかってますよ、昨日散々確認したんですから」
笑いながら答えるハイデンだがその表情には隠しきれない緊張と不安が見える。
そして最後にもう一度魔法陣に不備がないか確認。魔法陣とは一種の見えない檻、例えファミリエにしたくて召喚しても契約しなければただの獣、魔法陣は暴れるかもしれない猛獣を閉じ込めておく一時的な檻なのだ。
もし不備があるならそれは鍵が開いたままのライオンの檻と同じ、極めて危険なのだ。
「……よし、間違っているところはない」
自分の緊張をほぐすためか、そうつぶやいた彼は所定の位置へと向かう。
あれだけ騒いでいたギャラリーもいつの間にか静かになり、幼なじみを見守る彼女の瞳には本人の前じゃ絶対見せないような心配の色が浮かんでいた。
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