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「ちょっと、まだかかるの?」
不意にさっきの男たちとは逆の方から不機嫌丸出し声が近づいてくる少女が一人。
見た目は15、6歳ぐらいだろうか、のどかな雰囲気の村には似つかわしい銀色の鎧を身に纏っている。その鎧はちゃんと女性用らしく胸の部分は男にはない二つの起伏がある。
まるで気の強いのを自己主張するかのように吊り上がった目尻、少し小さめな可愛らしい唇、瞳の色はハイデンの明るい青とは違い深い湖でも覗いているような吸い込まれそうな深い青をしている。
情熱的に真っ赤な長い髪を後ろで一つ結びにした彼女の名はソフィア・シルフィード、この村の有志たちが集まって結束された自警団の一員である。
「もうちょっと待っててくれよ、あと一小節書いたら完成だからさ」
「やっと終わり?まったく、いったい何時間かかるのよ」
ソフィアはまるで出来の悪い息子を見る母親のような目つきでハイデンを見下ろす。
流石にむっとしたハイデンは魔法陣を書き続けながらも応戦。
「途中で誰かさんが魔法陣の一部を消さなければもっと早く出来てたんだけどね…」
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