2人が本棚に入れています
本棚に追加
しかしその口喧嘩も今日は長くは続かなかった。
「おーい、出来たのかハイデン？」
「あっ！後少しです師匠！！」
悠々と広場に入って来た男に声をかけられたハイデンはハッと我にかえって慌てて残りを仕上げにかかる。
男のぱっと見の印象は白黒。
真っ黒なローブを身に纏っているが、オールバックにしてある髪の色は綺麗な白。しかしそれは彼が歳老いているわけではない。
むしろ外見的には20歳後半ぐらいでも通りそうだ。
さらに彼を若く印象付けるのは金色の悪戯っぽい瞳、これが多くの女性を虜にしてしまうのだ。
彼はサン･ゼパーク、この村唯一の医者であり…魔法使いである。
「こんにちは、サン先生」
サンに気付いたソフィアもきちんと背筋をのばして丁寧に頭を下げる。
しかしサンはそれとは対象的に軽く手を上げて答える。
「おっ、こんにちはソフィアちゃん。来てたんだな」
「えぇ、こいつが失敗した時に周りの人達を逃がすのが私の役割ですから」
それを聞いたハイデンはまた言い返そうとするが、口を軽く開いただけでまたすぐに閉じてしまう。
実は否定しきれないからだ。
最初のコメントを投稿しよう！