放課後(橙×青)

12/15
前へ
/26ページ
次へ
予想以上に、浦正のペダルをこぐスピードは速かった。 ―アホ、そないに速くこぐなや。 一緒にいられる時間が、短くなってまうやんけ…。 浦正は、ちょっと体を揺らしながら、ぐんぐんペダルをこいでいく。 周りの景色が流れていく。 頬に、ちょっと冷たい、心地よい風が当たった。 俺は、ふいに すぐ目の前にある浦正の背中に抱きつきたくなった。 すでに触れそうなほど近くにいるけど、でも… もっと近付きたい。 ぎゅっとしがみつきたい。 俺は、その想いを必死でこらえ、浦正の背中から目を背けて、自転車の荷台を強く掴んだ。 駅に着く頃には、自分の手が白くなっているのに気付いた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加