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予想以上に、浦正のペダルをこぐスピードは速かった。
―アホ、そないに速くこぐなや。
一緒にいられる時間が、短くなってまうやんけ…。
浦正は、ちょっと体を揺らしながら、ぐんぐんペダルをこいでいく。
周りの景色が流れていく。
頬に、ちょっと冷たい、心地よい風が当たった。
俺は、ふいに
すぐ目の前にある浦正の背中に抱きつきたくなった。
すでに触れそうなほど近くにいるけど、でも…
もっと近付きたい。
ぎゅっとしがみつきたい。
俺は、その想いを必死でこらえ、浦正の背中から目を背けて、自転車の荷台を強く掴んだ。
駅に着く頃には、自分の手が白くなっているのに気付いた。
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