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学校から俺の家までは徒歩10分、浦正の家までは電車で2駅。
今までも、浦正は何度か放課後に俺の家に寄ったことがある。
授業とHRが終わり、浦正と2人で俺の家に向かった。
秋も深まり、だんだんと日が短くなってきた。
ちょうど、夕日が建物の向こうに沈むところだ。
いつものように他愛無い話をして、時折笑いながら肩を並べて歩く。
浦正の茶色がかった柔らかい髪が夕日に透け、首元のボタンを外した白いワイシャツがオレンジ色に染まる。
俺は、その美しさに一瞬息を飲んだ。
すると、浦正は
「どうした?」
と顔をこちらに向けた。
大きな目を見開いて、不思議そうに俺を見る。
俺は、やっとのことで声を絞り出し、
「…何でもあらへん」
と小さく言って、歩を速め、浦正の先に立って歩いた。
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