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「で、兄さんはどうすんの?」 なんだかんだで夏の暑さに絶えられなかった俺達は明音の祖父の家に避難することにした。 何故か縁側が落ち着くのは日本人的性質だと感じた。 「何が?」 「教師」 「できるもんならやりたくないね」 「……やっぱり私達のせい?」 「……知ってるくせに言わせんなよ」 話から逃げるように俺は横になる。風が涼しくて、そのせいか疲れがドッと身体中を駆け巡り自然と瞼が重くなり始めた。 と、その時。 ピンポーン。 唐突にインターホンが鳴る。 そして俺は浅いまどろみの中、誰かが言ったある台詞を思い出す。 「さぁ!餌は撒いた――」 一抹の不安が脳裏を過ぎった。  
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