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「如月 美月(キサラギ ミツキ)ちゃんに剣山 乙女(ツルギヤマ オトメ)さんですね。受理しました。それでは荷物をお願いしますね」 「はい。畏まりました」 馬鹿な箱入り娘というイメージとは百ハ十度違い、意外と清楚でおしとやかで、黒々とした髪が魅力的な中学生の女の子だった。猛反発をくらうかと思いきや家に入ると最後までだんまりを貫いていた。 中学校では勉強のスピードが遅過ぎて先に高校の勉強をしているらしい。いや、付き人の乙女さんいわく彼女は天才児なのだという。だから誰もが彼女には手を余らせていたらしい。そんな時たまたま乙女さんが明音の配ったチラシを見たらしい。 「ねぇ、帰るんだからなんか言いなよ。何も話してないじゃない」 俺の態度に不満を感じていたのか明音はそう言って肘で小突いてくる。 「天才……ねぇ」 他にも何人かお目に掛かった事はあるが、今回の場合は何だか拍子抜けした。ただの人見知りの激しい普通の女の子だったからな。 「おい美月。よく聞けよ」 俺の言葉に美月は怯えきった小動物のようにビクリと肩を震わせた。同時に研ぎ澄ましたかのような鋭い視線を感じた。 「お前、このままだと死ぬぞ――!?」 瞬間、付き人が俺に襲い掛かってきた。  
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