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「(今日で三日目か……)」 朝蒲団から起き上がり、手の開閉をしてみたが、まさか後一ヶ月でこの世を去るなんて夢にも思うまい程に手の動きはスムーズだった。 まるで実感が湧かない。 「あいつはヤブ医者だからな。人間そりゃあ間違える事もあるだろ」 とりあえずこの事は考えないようにして、立ち上がり、部屋から出てふと気付く。 「そういや……夢じゃなかったんだな」 昨日の一日を思い出すだけでも欝陶しい程目まぐるしい動きをしていたのだ。 あれは決して夢ではなかったのだ。 「みんな死に損ないの俺に何の期待をしているのかねぇ……」 自分の存在価値を考えながら階段を降りる。と、階下に、 「ぬるい!絶対仕事を舐めてるでしょ!罰として数1+Aのテキストの第一~三構を頭に叩き込んでもらうからね!今すぐに!」 仁王立ちでエプロン姿の明音が待ち構えていた。 「もう第五構まで大体頭に入ってる」 「えっ?そう。じゃあ早く朝ご飯食べよ。みんな待ってるから」 「俺は遅刻したんじゃないのかよ?」 「そんなこと一言も言ってないよ。それじゃあ先行ってるからね」 「…………」 面倒くさいのが現れたもんだ。 早く家に帰りたい。  
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