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「あーーだりぃなーー」
全教科担当しているのだ。どうして疲れない事があるだろうか、いや疲れる。
それが五日目ともなるとまだ初心者の俺には厳しいものになるというのは言うまでもない。
「うるさいなー兄さんは黙って勉強教えろ」
「お前の学校にも先生はいるだろう。そいつに頼れ。でもあいつらの七割方は形だけのプロだからな。ちゃんと見極めた上で俺のとこに来い」
俺の学校ではそうだった。どうしようもない奴が多かった。
「……べつにいいじゃん。たまには兄さんに頼ったって……」
「お前は夏休みが終わったら家に帰るんだろ?そしたら先生に頼らざるを得ないだろ。自分の力だけじゃどうにもならないことが人生じゃザラなんだよ」
俺がいつまでも側にいてやることは出来ないから。
「それじゃあ……兄さんが家に帰ってくれば……私が両親に説得するから」
「もう遅……!?」
しまった!口が滑った!
「何で?遅くなんかないよ。兄さんは何も悪い事してないのに……。大体就職出来なかったからって勘当なんて絶対間違ってる。おかしいよ」
危なかった……。痛いところを突っ込まれると思ったがそうでもなかったか。
「別にいいんだ。俺は俺で好きに生きてるし、別段困っているわけでもない。お前らも特に困るってわけでもないだろ」
「…………馬鹿……」
「?」
「……何でもない…………」
「別にないならいいんだ」
それで、いいんだ。
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