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「私は兄さんを信じてるから」
事の顛末を端から俺を見ていた妹が玄関に向かう俺に対してそう言葉を放ち、何故か手を合わせた。
「うるさい黙れ」
手から流れる血、血、血。
原因は乙女さんの握っていたフォークによるもの。
「ったく……」
アニメでも漫画でもあるまいしフォークで刺されたからといってすぐに傷が治るというわけではない。
……一体俺はどうしてしまったのだろうか?
――これは傷害事件ものだ。やろうと思えば色々と出来る。
『これは罰です。そうでしょう?』
彼女は普通ではない。正当防衛でもあるまいし、フォークを人に刺すという行為に正当性を主張するのはあまりにも馬鹿げている。
『お嬢様を愚弄したのですから』
問題は美月にもあるがどうやら付き人に相当な問題点があるようだ。
美月に対して盲目過ぎる。
『いやぁぁぁ!?!?』
その瞬間美月の顔は一気に蒼白と化し、奇声を上げると自分の部屋がある二階へと駆け上がって行った。
乙女さんはそれを見て追い掛けようともせずふらふらと茶の間へ歩いて行った。
『…………』
俺は菜月さんと顔を見合せ苦笑いする他なかった――
「……誰ですか?用があるならさっさとどうぞ」
美月(菜月)が言った通り本当に家の前でうろうろする変な人(男装した女の子)がいたのでやれやれと思いつつ見過ごすわけにもいかないのでとりあえず声をかける。
「!?……もしやここの講師の方?」
彼女は俺を見てどう思ったのかやや挙動不審な様子で俺に尋ねてくる。
「そうだけど」
俺が迷わずそう答えると、章の冒頭の通り以下略な強制イベントが発生するのであった。
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