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「……頭のいい俺でも話が見えないんだが」
話は見えてなくとも知能指数が高いとある程度の予想がついてしまう。
……重いぞこの話。
「……腹違いの姉妹です」
「…………」
もしこの話が嘘ならば凄まじい演技力だ。そのぐらいの乙女さんからは気迫が感じられる。彼女の思いがひしひしと。
「ま、まぁでもそれが美月の過保護とどう繋がるのか俺には理解しがたいんだが。普通逆じゃないか?自分の両親が死んだ原因だろ。美月に近づくのは分かるが」
乙女さんは舌唇を噛み締める。それは出血する程に強く。
「だからこそ……憎いからこそ守るのです。彼女は脆いから……、それはまるで硝子のように透明で…すぐに割れてしまうから」
「…………」
思わず脂汗が噴き出す。決して外が暑いからではない。
悪寒が身体を支配するのだ。
彼女から発せられる言魂があまりにも強烈で、鋭くて、恐ろしくて。
彼女の場違いな不敵な笑みの得体が知れなくて、
「フフ……私が罰を下すその日まで生きていてもらわなくては困りますから」
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