月華

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狂った時の中、静かに時を止めた君 色彩を無くした君に唯一残された漆黒の髪 穏やかな月を宿したその瞳は夜闇に縁どられ かたく閉ざされたまま 白く染めあげられた君に赤い花を送る この悪夢が早く終わる様に 花の中白くあり続ける永遠の君 堕ちて行こうその終わりまで 止まった時の中、狂い始めた歯車 眠り姫の君に静かに灯る赤い唇 夢物語の接吻は柔らかく受け入れても 答えてくれる事は無い 赤い雫を落とし続けて花を染める 目を開けたまま見た夢は虚像の夢に代わる 深く眠る、ずっと遠く 君が存在する所まで 狂い続けた時は 狂ったまま時を止めた
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