孤独の謡い手

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細い肩は微かに震え 小さな手には爪痕ばかり まっすぐ伸びた背中には 闇に触れ合う長い黒髪 其れは立ってる【その】人の 孤独に永さを現す時計 前だけを望む【その】人は どんな顔かも判りはしない 怒りか苦渋か哀しみか 性別すらも判らない 闇を切り裂きただ独り 声の限りと《謡》を投げ放つ 強く儚いその《謡》は 孤独にとけて闇を照らす 其れは癒し、其れは安らぎ 《謡い》続けるその人だけは 今も一人、孤独の内に
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